あたしにとっての路上観 その2


 さてさて、前回は、何だっけ(笑)(インターバルがあくといかんせん・・ディレイがかかるところがミソ(笑))そうそう、「コピーとカバー」、「物事気迫が大事」みたいな事をお話したんでしたよね。いかんなぁ、ちょっとでも他の作業をすると、あたし、ものの見事にそっちの方に全神経を集中させちゃう方だから、他のことがカコーーーンと抜けてしまうという・・(笑)まあ、書いているうちに又色々出てくるだろう・・という(笑)ような感じでとりとめのない話をしていこうと思います(笑)


 その、前回お話した、「カバーではなく、コピーで、人のフンドシを借りてお金を稼ぐストリートミュージシャン」が何故、増えるか?というような所に、ちょっと目を向けてみたいと思います。これは、そういうストリートミュージシャンの自覚のなさ、というだけじゃなく、日本の文化、とくに、音楽等芸術における、認識の低さっていうものがそういうのを増やす原因の一端にはなっていると思います。


 みんな、音楽が好きです。今は色々機械が発達して、高音質のものが、アウトドアでも楽しめるし、電車に乗っていても5人に一人がヘッドホンをシャカシャカ言わせている、そんな時代です。メディアが発達している分だけ、街に音楽が出回り、気軽にダビングしたり、やりとりできます。が、そこまで音楽というものが回りにあふれているのに、本当に音楽を自分の仕事として一生やっていこうとする人間にはやっぱり、「そんな浮き草稼業をやっていて、いいと思ってるのぅ?」なーんて声がやっぱり、ちらほらですが、聞こえてくるのですよ。もちろんね、多数じゃないですけれどもね。それで、これももちろん多数じゃないんだけど、自分の好きなアーチストのその曲を聞きたい、リクエストするっていうのは、要はその人の思い出の曲をリクエストする、という事であって、あくまで今実際に路上で見えるリアルタイムの文化っていうものを見つめようとしていないような気がします。人が何かを創造し、それで何かやりとりしようと、体を使って表現する、ということは、どんなに規模が小さくても、それはそこで一つの文化です。
 あたしもね、長年やってきましたが、ほんの小さいですが・・文化を作ってきたという自負はあります。(偉そうだけど、これは、胸を張って言っていかないと、今までやりとりしてきた人々・・街に失礼!)


 が、「リクエストどうの〜」って言ってる人は認識の違いだからこれも仕方がない、とは思うのですが、要はそういう思い出をお金に換算して、買おうとしているような所はあると思うのです。が、こちらはその人の思い出とは違う所で、その場その場でリアルタイムに呼吸をし、その空気を感じとって、あたしだったら、新宿アルタ横ガード下、今ここでしか聞けない物をやっているのです。そして、あたしにとっては、今目の前にいるお客さんは、今でしか、やりとりできないお客さん。だから必死になって歌う。
 双方そういう認識のずれがあるから、リクエスト答えてくれ、と言う人と、あたしとのギャップが生まれてきてしまうという・・。それを一概にいけない、とは言いませんが、あたしがそれに応じることは前回も述べたように、無いのです。
「リクエストのお客さん、思い出は、今ここで一緒に作っていきましょう!」とよくあたしは口にします。


 が、そこらへんの考えが甘いコピー君達は、そういうバックグラウンドも気づかないで、要は目先の金額のでかさに負けて、誰それの歌を歌ってしまうのです。だからね、歌う方も聞くほうももっともっと、考えなきゃいけない。両者が巧みに絡み合って、互いに文化の成長を妨げている。これが、例えばふつうの仕事だったら、どうなる事でしょうか?例えば、要求があったからといって、どこか他の人が特許を取ったものを許可なく使ったら、社会的な大問題になるんじゃないでしょうか??置き換えて考えれば簡単なのに、要はみんな、「歌だから・・」という冠言葉をかぶせてしまうので、話がおかしくなる。


 まあ、ここら辺はね、誰が悪い、何がどう、というものではなくて、要は、リクエストする人がいるから、答える人が出てきてしまうという・・そこで互いに成長を止めてしまうという・・完全な悪循環です。だからね、本当に草の根的な事なんですけど、あたしとしては、絶対にやりません。ここはばさっと切り落としてしまいますが、他の路上の子はどう考えてるかわからないけど。
 その言葉は、あたしは自分の喉元にもつきつけられています。刻一刻時代は変わります。そのときどきに化学変化をして、成長をして、あたしも歌っていかないと、そこに立っている意味が無くなってしまいますからね。


 ちょっと話は変わりますが、オウムの地下鉄サリン事件ってあったでしょ?あの時分、街の空気がガラッと変わったのを感じました。電車を降りて、人混みに出ると、パリィン!と張りつめた空気がありました。あの頃ぐらいから街の空気がおかしいような気がする。それまでは・・まあ、景気の下降というのはありましたが、まだ、どこかで人々がプラスのエネルギーを持ってた気がしたんだけど、あれを境にマイナスエネルギーがどっと増えましたねぇ。(何が・・?というのじゃなく、全体的に肌でそう感じるんです。)せめて、あたしが歌っているこの通路のこの空間だけでも、その空気の流れ変えてやるぅ!なーんて、いっつも気負いばっかり背負ってやっているんですけどね(笑)それは、一方的なものでなく、そりゃ、その瞬間そこを通っている人との共同作業です。あたしも体は使ってますよぅ(笑)足は踏みならすし(打楽器(笑))飛び跳ねるわ、アドリブで歌うわ・・(笑)ときどき見境なさすぎて、熱唱のあまりすっ転ぶ事しばしばですけどね(笑)


 まあ、今回は、そんな感じで「誰がどうというものではない、悪循環を変えるのはみんなが認識を少しづつ変えていくことなんだ」みたいな話になってしまいました。まあ、ここら辺の話は路上だけでなく、文化、暮らし、その他の事にもつなげて考えられる事だから、あたしも一生懸命考えていきたいです。今回は書いててあらためて自分の喉元に刃をつきつけなきゃ、もっと、もっと!という気分です。
 次回はちょっとくだけて、今まで路上であった、びっくりした、とか、こりゃ忘れられないない位おもしろかったなぁ、とか、そういう事を書いてみようと思います。。それでわ、またね!


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